p26 脚注49
地球の生物は, かつては,バクテリア(Bacteria真性細菌), アーキア(Archaea古細菌)と真
核生物(Eucarya)の3領域(domain)に大分類されていた(改訂された結果についてはT. A.
Williams, P. G. Foster, C. J. Cox and T. M. Embley, ``An archaeal origin of eukaryotes supports
only two primary domains of life,'' Nature {\bf 504}, 231 (2013)参照). われわれは真核生物の大分類
ではキノコと動物を含むグループの一員である.
→
地球の生物は, かつては,バクテリア(Bacteria真性細菌), アーキア(Archaea古細菌)と真
核生物(Eucarya)の3領域(domain)に大分類されていた(改訂された結果のまとめは
W. Ford Doolittle, ``Two Domains of Life or Three?'’ Curr. Biol. {\bf 30}, R177 (2020)参照).
われわれは, 真核生物の大分類では, キノコと動物を含むグループの一員である.
p59 脚注 45 [以下ので置き換え]
量子力学の解釈に関して一番物理的なのは W. H. Zurek, ``Decoherence, einselection, and the quantum origins of the classical,'' Rev. Mod. Phys. {\bf 75} 715 (2003)である.
p140 脚注32 [清水さんの本のupdate]
清水明「熱力学の基礎」(東京大学出版会,2007)
→
清水明「熱力学の基礎」第2版 I, II (東京大学出版会 2021)
p200 脚注36
http://www.dtc.umn.edu/ odlyzko/
→
http://www.dtc.umn.edu/~odlyzko/
p213 註58
E. Ising 1900-1998については\verb#http://www.bradley.edu/academic/departments/physics/why/isingobit.html参照.
→
E. Ising 1900-1998についてはWikipediaのErnest IsingのExternal linksのArticle from Bradley University about Isingを見よ.
p226 図4.7.5 [captionへの追加]
[G. Tkacik and T. Gregor ``The many bits of positional information,'' Development {\bf 148}, dev176065 (2021), 特にFig. 8参照.]
p227 註86
Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 99}, suppl.1はSelf-organized complexityの特集であり,その序論はD.
L. Trucotte and J. B. Rundle, ``Self-organized complexity in the physical, biological, and social
sciences,.'' Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 99}, 2463 (2002)である.古典的例は地震の頻度と震度の関
係のような巾法則なのだそうである.いわゆる1/fノイズに関係した話題が挙げられて
いる.カオスなども見出しにでている.この特集号で取り上げられている話題は玉石混淆
(真・擬似混淆)である.多くはスケーリングに関係したつまらない話である.そもそもself-
organized complexityという概念は自己撞着(oxymoron)であることが最終章を読めばわか
る.
→
Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 99}, suppl.1はSelf-organized complexityの特集であり,その序論はD.
L. Trucotte and J. B. Rundle, ``Self-organized complexity in the physical, biological, and social
sciences,.'' Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 99}, 2463 (2002)である.そもそも本書最終章にあるとおり,self-organized complexityという概念自体は自己撞着(oxymoron)である.この特集号で取り上げられている話題の多くがスケーリングに関係したつまらない話である.
スケーリングに関連した批判的論文としてA. D. Broido and A. Clauset, ``Scale-free networks
are rare,'' Nature Commun. {\bf 10}, 1019 (2019)参照.
p229 本文末尾追加.
次の論説は,近い将来の応用数学の一つの方向を示すものであるかもしれない.Weinan E, ``The Dawning of a New Era in Applied Mathematics,'' Notices Am. Math. Soc., {\bf 68}, 565 (2021).
p232 本文 ページ中程から始まるパラグラフ
最終章では,まず「複雑」という概念が意味や価値を抜きにして語れない
概念であることを反省し,その本質が生きものと不可分であることを見る.こ
れは従来の「複雑系研究」の大きな部分がまったく的外れであるということで
ある.複雑系の典型である生きものの重要な特徴はパスツールが言ったように
自然発生できないということだが,….
→
最終章では,まず「複雑」という概念が意味や価値を抜きにして語れない
概念であることを反省し,その本質が生きものと不可分であることを見る.こ
れは従来の「複雑系研究」の大きな部分が的外れであるということだ.2021年
のノーベル物理学賞は,公式ページで「われわれの複雑系の理解への革新的な寄
与」に与えるのだと銘打たれている.顕彰されている業績(乱雑系および気候の理
解への寄与)の価値に異論はないが,表題はノーベル委員会およびスウェーデン
の物理学者たちに見識がないことを如実に物語る.
複雑系の典型である生きものの重要な特徴はパスツールが言ったように自然発生できないということだが,….
p232 註1
...2015年で4000ページをこえる)があることも脚注が肥大している理由である.
→
2017年末に基研でその微小部分を講義したが今や資料集として20,000ページに近い)があり,到底この本では納らない.
p235 註10
《人間の利他行動はグループ敵対の産物か》集団内の倫理的行動(利他行動)は集団間の紛争
に対処した適応行動として進化した可能性がもっともらしい.J. K. Choi and S. Bowles, `` The
coevolution of parochial altruism and war,'' Science {\bf 318}, 636 (2007).
→
《人間の利他行動はグループ敵対の産物か》どうかについては論争が続いているが,次の
ような論文はある: C. Handley and S. Mathew, ``Human large-scale cooperation as a product
of competition between cultural groups,'' Nature Commun. {\bf 11}, 702 (2020).
p238 註17の7行目から改訂
….
transition of life,’' Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 107}, 12941 (2010)など.あるいは遺伝子やタンパ
ク質の相互作用ネットワークがスケールフリーであるというようなことがしばらくまこ
としやかにやかに唱えられたが,一般的批判としてA. Clauset, C. R.Shalizi and M. E. J. Newman, ``Power-Law Distribution in Empirical Data,'' SIAM Review {\bf 51}, 661 (2009).
→
transition of life,'' Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 107}, 12941 (2010), I. A. Hatton et al., ``Linking scaling
laws across eukaryotes,'' Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 116}, 21616 (2019) など.あるいは遺伝子やタンパク質の相互作用ネットワークのスケールフリー性について一般的批判はA. Clauset, C. R.Shalizi and M. E. J. Newman, ``Power-Law Distribution in Empirical Data,'' SIAM Review {\bf 51}, 661 (2009) およびp227 註86に既に引用した文献参照.
p240 註23
最近の知見については
Y. Liu et al., ``Insights into human history from the first decade
of ancient human genomics,'' Science {\bf 373}, 1479 (2021);
S. Alm\’{e}cija et al., ``Fossil apes and human evolution,'' Science {\bf 372}, 587 (2021);
A. Timmermann et al., ``Climate effects on archaic human habitats and species successions,'' Nature {\bf 604}, 495 (2022).
p241 註26 [単純ミス]
1960 → 1860
p245 註37
複雑系を作り上げるために抑え込まれている自発性が暴走するのがガンであるとさえ言
えよう.
→
複雑系を作り上げるために抑え込まれている自発性が暴走するのがガンであるとさえ言
えよう.第一刷にすでにあるこのコメントと次の論文は整合している: A. S. Trigos et al., ``Altered interactions between unicellular and multicellular genes drive hallmarks of transformation in a diverse range of solid tumors,'' Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 114}, 6406 (2017).
p250 4行目 [化粧直し]
チューリング機械
→
チューリング機械そのもの
p251 註50の位置と内容を変える
註50 (3行) これを第1パラグラフ9行目 「...が必須である.」の後につけ変える.
メゾスケールでの液液相変化は今や細胞生物学では原核生物でさえ極めて重要な要素になった:
J. S. Fassler et al., ``Protein Aggregation and Disaggregation in Cells and Development ''J. Mol. Biol. {\bf 433}, 167215 (2021); A. E. Dodson and S. Kennedy, ``Phase Separation in Germ Cells and Development'' Dev. Cell {\bf 55}, 2019 (2020);
M. C. Cohan and R. V. Pappu, ``Making the Case for Disordered Proteins and Biomolecular Condensates in Bacteria,''
Trends Biochem Sci. {\bf 45}, 668 (2020).
p252 註51 [更新]
《小さなRNAたち》今世紀になっていろんな種類の短い(20-30塩基)RNAが制御因子とし
..... 全四行
→
《非コードRNAたち》タンパクに翻訳されない必ずしも短くない多様なRNAが制御因子
などとして極めて重要である.J. S. Mattick, “Challenging the dogma: the hidden layer of
non-protein-coding RNAs in complex organisms,” BioEssays {\bf 25}, 930 (2003); J. C. van Wolfswinkel
and R. F. Ketting, ``The role of small non-coding RNAs in genome stability and chromatin organization,'' J. Cell Sci. {\bf 123}, 1825 (2010); D. P. Bartel, ``Metazoan MicroRNAs,'' Cell {\bf 173}, 20 (2018).
p259 註68
「これは本書の関心の外である.」に続けて以下を改行して追加:
なお,原核的な生物が基本でその複雑化で真核生物ができるというのが常識的だが,証拠
はない.原初生物はバロックなものでそれがスリム化して原核生物になる一方真核生物は
原初の「血を濃厚に受け継ぐ」という考え方は可能である.考え方のまとめはC. Mariscal, and W. F. Doolittle, ``Eukaryotes first: how could that be?,'' Phil. Trans. Roy. Soc. {\bf 370}, 20140322 (2015).
p260 下から6行目 [通俗名称の訂正]
アーノルドの`猫'
→
ルネ・トムの`猫'
p265 註77 [非極値的変化.文献追加,「予言通りの例が出てきた」ので]
「の常識である.」にすぐ続けて
崖っぷちの例: P. Mitteroecker et al., ``Cliff-edge model of obstetric selection in
humans,'' Proc Nat. Acad. Sci. {\bf 113}, 14680 (2016).
p266 註78
《遺伝子重複》最初にその意義を強調したのはS. オオノ(大野乾)「遺伝子重複による進化」
(山岸秀夫・梁 永弘訳,岩波書店, 1971)である.最近の総説はJ. S.Taylor and J. Raes,
``Duplication and divergence: the evolution of new genes and old ideas,'' Ann. Rev. Genetics {\bf 38},
615-634 (2006).次の論文はわれわれの遺伝子はすべて重複の結果であると主張する: R. J.
Britten, ``Almost all human genes resulted from ancient duplication,'' Proc Nat. Acad. Sci. {\bf 103},
19027 (2006).
→
《遺伝子重複》最初にその意義を強調したのはS. オオノ(大野乾)「遺伝子重複による進化」
(山岸秀夫・梁 永弘訳,岩波書店, 1971)である.次の論文はわれわれの遺伝子はすべて
重複の結果であると主張する: R. J. Britten, ``Almost all human genes resulted from ancient duplication,''
Proc. Nat. Acad. Sci. {\bf 103}, 19027 (2006). 個々の遺伝子でなく全ゲノム重複は新分類群
の発生など進化的に極めて重要である.例えば,Sacerdot et al., ``Chromosome evolution at
the origin of the ancestral vertebrate genome,'' Genome Biol. {\bf 19}, 166 (2018).
p268 註86 [ほぼ入ると思います]
《付着生活の結果》海綿動物でHox 遺伝子が失われたらしいこともこの例である.刺胞動物
とわれわれ左右相称動物の共通祖先はずっとわれわれの方に近く,かなりのHox 遺伝子な
どをもっていたが,それらは刺胞動物ではかなり失われたと考えるのがもっともらしい.要
するに動物の共通祖先についてのプラヌラ(Planula は這いまわる刺胞動物の幼生) 説はかな
り的を射ているのである.プラヌラとイソギンチャクの関係が頭索動物と尾索動物の関係と
並行であることに注目.海綿動物や襟鞭毛虫も自分で動くことをやめた生きものなので,か
なりの退化の結果であろうから,原初的な生き物だとは見ない方がいい.
→
《付着生活の結果》海綿動物でHox 遺伝子が失われたらしいこともこの例である.刺胞動物
とわれわれ左右相称動物の共通祖先はずっとわれわれの方に近く,動物の共通祖先について
のプラヌラ(Planula は這いまわる刺胞動物の幼生) 説はかなり的を射ている.海綿動物や襟鞭毛虫も自分で動くことをやめた生きものなので,原初的生物だと見ない方がいい: Seb\'{e]-Pedr\'{o}s et al., ``Unexpected Repertoire of Metazoan Transcription Factors in the Unicellular Holozoan
{\em Capsaspora owczarzaki},'' Mol. Biol. Evol. {\bf 28}, 1241 (2011); Brate et al., ``Unicellular
Origin of the Animal MicroRNA Machinery,'' Curr. Biol. {\bf 28}, 3288 (2018).
p269 註88 [更新]
《真核生物の大分類》F. Burki, ``The Eukaryotic Tree of Life from a Global Phylogenomic Perspective,''
Cold Spring Harb Perspect Biol. {\bf 6}, a016147 (2014)が一応公平に見えるがまだ流動的である.
->
《真核生物の大分類》F. Burki et al., The New Tree of Eukaryotes Trends Ecol. Evol. {\bf 35}, 43 (2020)
がかなり新しく手頃.生命の樹についてhttp://www.onezoom.orgというズームイン自在のサイトがある.
p272 註94 [混み合いの効果追加]
《混み合った細胞》多くの細胞は体積にして10-40%が巨大高分子で占められる.この混み
合いの効果はしばしば化学反応の平衡の方向さえ左右し,細胞を浸透圧の急変からまもった
りする. R. J. Ellis, “Macromolecular crowding: obvious but underappreciated,” Trends
Biochem Sci 26, 597 (2001) や研究会の記録“Life in a crowded world — Workshop on the
Biological Implications of Macromolecular Crowding,” EMBO Rep 5, 23 (2003) がよい入門
文献.
→
《混み合った細胞》多くの細胞は体積にして10-40%が巨大高分子で占められる.この混み
合いの効果はしばしば化学反応の平衡の方向さえ左右し,細胞を浸透圧の急変からまもった
りする: R. J. Ellis, “Macromolecular crowding: obvious but underappreciated,” Trends
Biochem Sci 26, 597 (2001). 混み合い方の恒常性は重要: J. van den Berg et al., ``Microorganisms maintain crowding homeostasis,'' Nature Rev. Microbiol. {\bf 15}, 309 (2017).
p272 註95 のp273に続いている部分2行目
最近の論文は….以下を次ので置き換える.
→
最近の興味深い論文は
Y. Draceni and S. Pechmann, ``Pervasive convergent evolution and extreme phenotypes define chaperone requirements of protein homeostasis,'' Proc Nat. Acad. Sci. {\bf 116}, 20009 (2019); M. Hayer-Hartl, and F. U. Hartl ``Chaperone Machineries of Rubisco---The Most Abundant Enzyme,'' Trends Biochem Sci. {\bf 45}, 748 (2020).
p273 註99 [総替え]
Orlandini et al., ``Synergy of topoisomerase and structural-maintenance-of-chromosomes proteins creates a universal pathway to simplify genome topology,'' Proc Nat. Acad. Sci. {\bf 116}, 8149 (2019).
p275 註103 [文献追加]\\
...と考えられる(そのような種しか生き残ってこなかったであろう).
→
...と考えられる.K. E. M. Vuorinen et al., ``Why don’t all species overexploit?'' Oikos {\bf 130} 1835 (2021)参照.
第3刷改訂一覧