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Lambertと円周率
J H Lambertは最初に円周率が無理数であることを証明した人でもある.1761年のことだそうである. M. Laczkovich, On Lambert's proof of the irrationality of \pi, Am. Math. Monthly 104, 439 ( 1997) 参照
現象学という名前について
本書では先行するマッハの現象学がこの名称のもととなったように書いたが,これは時代背景ないし時代の精神を知らない結論であった.谷徹「これが現象学だ」(講談社, 2002)のp38-9にはっきりと書いてあるように,すでに以前の個々の自然研究者たちや心理学者たちによって「現象学的」と言われるような方法論があり,その徹底化がフッサールの現象論であったのである.
マッハの哲学を現象論と言ったのは彼の論敵であったようだが,そうすると彼の論敵は当時の現象論に通じていた,ということになる.これはうがちすぎの見方かもしれないが,論敵は現象論のなんたるかを知っていて,それが直接経験を捉える努力であったがために経験を越えないということを正確に理解して「現象論」とマッハの思想を呼んだのかもしれない.