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くりこみ不可能な相互作用
(これはすでにくりこみをかなり知っている人のための註)
そもそも場の理論における摂動的くりこみにおいて,相互作用項で負のエネルギー次元を持つ係数 g のかかったもの(つまり [ g ] = E ^ a で a < 0 )は「くりこみ不可能」とされ,されは図3.3.3で(a)のようにふるまう.これは低エネルギーでは( E --> 0 では)発散しない ( g と E を含む無次元量は gE^ { -a } であり,これは低エネルギー極限 E --> 0で消えてしまう ).そこで,低エネルギー現象を記述するための理論(つまり場の理論)ではくりこみ不可能な相互作用はすべて無視してよい,すなわち,結果としてモデルはくりこみ可能性を要求して決めてよい.言いかえると,理論は高エネルギー世界の真実を反映する必要はないのである(むしろ,くりこみ不可能な量こそ微少な世界で確定した真実に対応しているのだが,それはわれわれの世界の観測ではわからないのである).さらに,相対論的不変性も高エネルギースケールでのモデルには要求しなくてもいいのである(相対論は観測できるところに要求すればいい; 対称性は低エネルギー極限で回復する. 格子ゲージ理論が好例)が,要求しても構わない.