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モデル理論 では,ここで概念の世界といっている世界が事実世界と記述世界からなり,事実世界は数学的に表現された現実世界のことであり,記述世界とは形式言語の世界のことである.つまり,事実世界は与えられたと考えるので,われわれがここで考えているようなアイデアの世界と現実の世界の対応をどうするかという深刻な問題はない.概念の世界と現実の世界の関係が,モデル理論の内部において記述世界と事実世界の関係としてモデル化されていると考えることもできよう.
科学の基盤を掘り崩そうとする努力
いわゆる科学論者(たとえば日本では金森修氏などが代表だろうか)については,金森氏の『サイエンス・ウォーズ』の三中氏による書評
がその知的誠実さ(これは科学の基盤を支える一つの柱であると考える)の欠如を明らかにしてくれている.科学の基盤を掘り崩すために,まず,「知的誠実さ」を捨てて‘精神を清め’ 自身の倫理的構えがいわゆる科学のそれとは一線を画していることを明らかにしてから, 科学批判に取りかかるということのようである.
(『サイエンス・ウォーズ』も東京大学出版会が出していたとはうかつにも認知していなかった.三中氏の本も同じ所から出ているから,まぁよし,ということにしておこう.)