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あるいは,「 ことばはどのように感覚を指し示すのか.—ここには何ら問題などないように見える.われわれは毎日のように感覚について語り,それらを名指してはいないだろうか.だが,どのようにしてその名と名指されたものとの結合が作り出されるのか. 」(ウィトゲンシュタイン『哲学探究』(ウィトゲンシュタイン全集8,藤本隆志訳,大修館書店1976) 244 p177)
脚注8 補足 クーンの説が社会科学界でなんで興味をもたれたか,都城氏の説
「 クーンの説が社会科学界で異常な興味を持ってみられた主な原因は次の点にあったといわれている.自然科学は厳密な論理と実験によって,客観的で確実な学問体系を作り,それはすべての人によって受け入れられているのだと,それまで社会学者たちは常識的に考えていた.そしてそれに較べて,社会科学が客観的な確実な学問でないということに劣等感を感じていた.ところがクーンの本を読んだ社会科学者たちは,自然科学も本質的には社会科学と同じであって,その学説は客観的でも確実でもなく,単に科学者共同体によって受け入れられているというにすぎないことを知って,たいへん喜んだ. 」(都城秋穂「科学革命とは何か」(岩波書店,1998) p176)