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個人主義的社会のパラドックスについて
I-646 各個人も自分は「自分」であり、かれの思想、感情、願望は「かれのもの」であると真剣に思いこんでいる。たしかにわれわれのあいだには、本当の個人もいるが、しかしたいていのばあい、この信念は一つの幻想である。しかも、この信念は、このような事情の原因である諸条件を撤去することを妨げるものであるから、危険な幻想である。 [E. フロム「自由からの逃走」 第五章 2]
I-650 「独創的な」決断は、個人的な決断を土台としているように思われている社会では、比較的にかえってまれであるように思われる。 [E. フロム「自由からの逃走」 第五章 2]
自然主義的誤謬に関して .
この区別は自然についての省察と人生についての省察の(たぶん悪しき) 峻別をもたらしてきたのではないだろうか.より一般的に言って,根は宗教問題なのである:
「 人間は自己を自然から区別する. [自然からの] 人間のこの区別が人間の神である.すなわち自然からの神の区別は、自然からの人間の区別以外の何物でもない. 」(フォイエルバッハ「キリスト教の本質」第11 章舟山信一訳,上下,岩波文庫, 改版,1965)
( 未完 )